甲状腺偶発腫瘍とは
甲状腺偶発腫瘍とは、頚部エコーやCT、PET検査で偶発的に発見された甲状腺結節・腫瘍のことをいいます。健常者に対する頚部エコーでは27-67%で偶発腫瘍が認められ、CTやMRIでは16%、PETでは2-3%と言われています。
甲状腺偶発腫瘍では悪性腫瘍の評価が重要です。エコーで発見された甲状腺偶発腫瘍の約5%、CTやMRIで発見された甲状腺偶発腫瘍の13%、PETで発見された甲状腺偶発腫瘍の14-50%が悪性腫瘍とされます。
評価とフォロー
下記のフローに基づいて評価・フォローを行います。
まず、甲状腺偶発腫瘍が発見された場合、TSHを含めた甲状腺機能を確認します。異常があれば甲状腺機能低下症、亢進症に基づいて対応を行いつつ、リスク評価を行います。CT、MRIではリスクがあれば甲状腺エコー検査を行いますが、PET-CTで発見された甲状腺偶発腫瘍の場合、集積がある時点で悪性のリスクが高いため、全例でエコーを行います。
エコー所見と悪性腫瘍に対する関係は以下の通りです。
私の勤務している病院では甲状腺エコーまでは施行できるため、エコー所見をみて必要があれば専門医への紹介を検討することになります。甲状腺エコーが施行できない施設であれば甲状腺偶発腫瘍が発見された時点で一度紹介としてもよいかもしれません。
参考
・ホスピタリストのための内科診療フローチャート 第2版