総論
胆石の種類
胆石は主にコレステロール結石、ビリルビンカルシウム結石、黒色結石の3種類に大別できます。
コレステロール結石は最も頻度の高い結石であり、胆汁中のコレステロール過飽和、結晶化、胆嚢収縮能の低下が形成に関与しています。
ビリルビンカルシウム結石は胆道感染が原因です。胆管狭窄や傍乳頭憩室など、胆汁うっ滞が危険因子です。
黒色結石はサラセミア、遺伝性球状赤血球症、鎌状赤血球症といった溶血性貧血で生じることが多いです。
結石のできる部位
結石のできる部位は胆嚢、総胆管、肝内の3つがあります。
最も頻度が高いのは胆嚢結石であり、胆石全体の7-8割を占めます。総胆管結石は次点で多く、2割前後です。肝内結石は最も少なく、数%程度と見積もられています。
胆嚢結石
胆嚢結石を保有しているのは全人口の10%程度とされています。
約70%の患者は無症状で発見され、年1-2%が有症状化するとされています。急性胆嚢炎、総胆管結石、急性胆管炎、急性膵炎などの原因となります。胆嚢結石の有無は胆嚢癌のリスクにはならないとされています。
無症候性の胆嚢結石は基本的には治療適応はなく、胆石発作を繰り返したり、胆嚢炎や胆管炎を起こした場合に胆嚢摘出術が考慮されます。
総胆管結石
総胆管結石は急性胆管炎の最も多い原因であり、合併がある場合はそちらの対応に準じます。
総胆管結石は腹痛、背部痛、発熱、黄疸を契機に発見されることが多いですが、25%は症状がなかったとの報告もあります。
前述の通り総胆管結石は急性胆管炎を引き起こす可能性があるため、基本的には治療適応となります。多くは内視鏡的乳頭括約筋切開術とこれに続いて行うバスケットカテーテルあるいはバルーンカテーテルによる内視鏡的結石除去術が標準治療とされており、その治療成功率は86.8-100%と極めて高いです。
肝内結石
肝内結石では腹痛、発熱、黄疸などの胆管炎症状を認めることが多いですが、1-3割は無症状で発見されることがあります。肝内結石は肝内胆管癌の有意なリスク因子であることがわかっています。
無症状であれば、肝内胆管癌合併、肝萎縮、胆道狭窄、拡張がないことを確認した上で経過観察とすることが提案されています。肝内胆管癌の合併例と肝萎縮例は肝切除術の適応です。
肝内胆管癌は肝内結石症の4.8-12.9%と高率に合併することがわかっており、常に発癌に対する注意が必要であり、定期的な画像検査によるフォローが不可欠です。
参考
・胆石症診療ガイドライン2021(改訂第3版) 日本消化器病学会
・up to date
・radiopaedia