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機能性ディスペプシア(FD)

  • 2022年11月25日
  • 2023年1月26日
  • 消化器
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概論

機能性ディスペプシア(FD)とは

・我が国のガイドラインでは「症状の原因となる器質的、全身性、代謝性疾患がないのにも関わらず、慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患」と定義されている。

・国際的な診断基準であるRomeⅣ基準では、下記の通り症状を4つに定義している。我が国のガイドラインではこの4症状に囚われることが好ましくないであろうということで、独自の定義を設けている。

・また、H.pylori感染を伴うものはFDではなく、H.pylori関連ディスペプシアとして別に扱うべきとされている。

〇疫学

・日本人では検診受診者の11-17%、上腹部症状を訴え病院を受診した患者の45-53%であるとされている。

〇病態

・消化管運動機能障害(胃底部弛緩不全、胃排出遅延など)、消化管知覚過敏(ガスや膨満に対する過敏症を伴う知覚過敏など)、および胃・十二指腸の炎症によって生じると考えられているが、その病態はIBSほど解明が進んでいない。

診断

・ガイドライン上は高齢での新規発症、体重減少、再発性の嘔吐、出血、嚥下障害などのいわゆる警告症状がなく、若年かつ他疾患の関与が否定的であればGFは必ずしも必要ないとされている。

・ただ、GFは器質的疾患の除外には有用であり、診断を下し治療を開始するのであれば一度はやっておくべき検査と考えられる。

・その他、必要に応じて採血、腹部エコー、腹部CT検査も追加する。

・自己記入式質問票は有用である。以下、一例として出雲スケールを挙げる

http://www.pariet.jp/sites/default/files/hcp/medical-support/material/pdf/PRT-P-1-PM-00584.pdf

治療

・ガイドラインでの第一選択は酸分泌抑制薬、アコチアミド、六君子湯である。以下、各薬剤について概説する。

〇酸分泌抑制薬

・PPI、P-CAB、ヒスタミンH2受容体拮抗薬はいずれもFDへの適応はないが、症状の改善が期待でき、エビデンスレベルも高い。

・ただしP-CABは新規薬剤であり、比較的エビデンスレベルが低いことに留意する。

〇AchE阻害薬(アコチアミド 一般名:アコファイド®)

・国内で唯一FDに適応のある薬剤である。

・消化器症状、肝障害に注意する。

処方例:

100mgを1日3回、食前に投与する。

〇ドパミン受容体拮抗薬

・メトクロプラミド、ドンペリドン、スルピリドなどが該当する。

・よく消化器不定愁訴に使用されるが、FDに対し高いエビデンスはない。錐体外路症状など副作用を考慮すると優先して使用すべきではない。

〇セロトニン5-HT4受容体作動薬(モサプリド 一般名:ガスモチン®)

・質の高いエビデンスはないが、FDに対し効果が示唆されている。

・副作用も少なく、選択肢として検討してよい。

〇六君子湯

・消化管運動改善作用があり、特に上腹部症状に効果を示す漢方である。

・FDにおいても症状を改善するエビデンスがあり、治療選択肢としては有力。

その他、三環系抗うつ薬一部の抗不安薬もFDに効果があるとされている。

参考

・機能性消化器疾患診療ガイドライン2021 機能性ディスペプシア 日本消化器病学会

・Nat Rev Dis Primers. 2017 Nov 3;3:17081.