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大腸ポリープ

  • 2023年1月13日
  • 2023年1月26日
  • 消化器
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分類

大腸ポリープは組織学的な特性の違いにより,下記のように通常型腺癌,鋸歯状ポリープ,ポリポイド腺癌,炎症性,過誤腫性,間質性,リンパ組織性,内分泌性,その他,に分類されます。

ここでは大腸ポリープの中でも最も頻度が高く、大腸癌のリスクがある通常型腺腫についてまとめていきます。

通常型腺腫について

〇疫学

大腸ポリープのうち、通常型腺腫は約3分の2を占めています。加齢が最も大きなリスク因子であり、20-30代での有病率は1-4%にすぎませんが、50歳で約25-30%に、70歳では50%にまで上昇するとされています。また、BMIの増加もリスクであり、BMIが5増加するごとに腺腫の有病率が19%増加したという報告があります。加えて、女性よりも男性に多く認めるとされます。

〇臨床的特徴

腺腫は一般的には無症状であり、ほとんどの場合スクリーニングを機に発見されます。腺腫の増大率はものによって様々ですが、平均では0.5mm/年増大するといわれます。全体の5%という、ごく少数の腺腫が7-10年かけて癌に進行します。

腺腫の担癌率は報告によって様々ですが、径が10mmを超えると癌化率が上昇し、その割合は10-25%とされています。

〇治療適応

大腸癌はその前駆病変である腺腫性ポリープを内視鏡切除することにより、その罹患率が76-90%抑制可能とされています。さらに53%の死亡率抑制効果があるという米国National Polyp Studyからの報告もあります。

径6mm以上の大腸腺腫は径5mm以下の病変と比較して癌の頻度が高く、形態学的にも腺腫と癌の鑑別が困難であることがしばしばみられるため、内視鏡切除が推奨されています。一方、径5mm以下の腺腫に対する内視鏡的切除術に対しては一定の見解は得られておらず、経過観察することも容認されています。

〇フォロー

腺腫性ポリープに対する内視鏡的サーベイランスは3年以内に行うことが推奨されています。

大腸癌検診

本邦では、大腸癌検診として便潜血検査(免疫法)と全大腸内視鏡検査があります。前者は大腸癌死亡率減少効果が明らかであるため対策型検診、任意検診のいずれでも強く推奨されています。一方、後者は死亡率減少効果を示す根拠はあるものの、無視できない不利益があることから、対策型検診としては勧められていません。

〇便潜血検査

自己採便による、2日分の便サンプルを免疫法で測定します。大腸癌に対する感度は53-100%、特異度は87-95%であり、それなりの精度があるといえます。RCTによれば、毎年便潜血化学法を受けた場合には33%、2年に1度受診した場合でも13-21%大腸癌死亡率が減少することが報告されています。本邦で行われている免疫法では、症例対象研究によって1日法による検診を毎年受診することで大腸癌死亡率が60%減少することが報告されています。

 

〇大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査では、S状結腸内視鏡検査についてRCTで大腸癌死亡率減少のエビデンスが得られています。全大腸内視鏡検査はRCTなど前向き検証によるエビデンスがありませんが、S状結腸内視鏡と比較して右側結腸まで観察できること、内視鏡機器の性能向上とともに画質・解像度が向上していることから、死亡減少効果は同等以上であることが期待できます。ただし、腸管穿孔のリスクがあるため、緊急時の対応が可能である医療機関での人間ドックなど、任意検診でのみ検査が推奨されています。

また、腺腫の数やAdvanced neoplasiaの数により、大腸内視鏡検査再検について下記のように推奨されています。

参考

・up to date

・日本消化器病学会 大腸ポリープ診療ガイドライン2020 改訂第2版

・日本消化器病学会 大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン

・国立がん研究センター がん検診ガイドライン 大腸がん