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器質化肺炎について

  • 2022年10月6日
  • 2023年1月26日
  • 呼吸器
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今回は器質化肺炎についてまとめです。呼吸器診療から離れて久しいのですが、器質化肺炎はたまに外来でも見ることがあります。疑う上で、“抗菌薬で改善しない肺炎”、“陰影の移動する肺炎”、“喀痰の乏しい肺炎”といったところがキーワードになってきます。self limitedな経過を辿る場合もあり、症状が軽い場合は介入すべきなのか悩ましい所です。また、ステロイド治療を導入したとしてもtaper時に容易に再発してしまうので、扱いにくいことこの上ない疾患です・・・。なかなか実態の捉えにくい器質化肺炎ですが、少しでも皆さんの参考になれば幸いに思います。

特発性器質化肺炎の疫学

・正確な有病率ははっきりしないが、アイスランドで行われた後ろ向き研究では1.10/10万人程度と示されている。また、カナダの主要な教育病院では、入院10万件当たり6.7例の累積有病率が報告されている。

・COPの診断が確定された合計1490人の患者を含む報告によると、診断時の平均年齢は50-60歳(範囲は17-95歳)であり、小児での報告はほとんどない。

・男女間では男性でわずかに頻度が高い。

・喫煙との関連が示唆されている。

病態

・以下の画像に沿って、器質化肺炎と肺線維症の病態について説明していく。

・パネルA-Dは器質化肺炎のものである。まず基底膜の剥離を伴う肺胞上皮細胞の損傷により、肺胞壁にギャップが生じる。そこから血漿タンパクの漏出、フィブリン形成、および肺胞腔への炎症細胞の遊走が生じる(パネルA)。その後、さらに線維芽細胞の遊走と筋線維芽細胞への分化により、線維性炎症芽(マッソン小体)が形成される(パネルB)。最終的に炎症細胞とフィブリン沈着物は消失し始め、同心円状に組織化された筋線維芽細胞に置き換えられる。その後、肺胞壁に取り込まれ、その表面にⅠ型肺胞上皮細胞が増殖し、基底膜の連続性と肺胞単位の構造が回復される。

・パネルE-Hは肺線維症のものである。肺胞上皮細胞の損傷を契機により血管透過性が亢進し、フィブリノゲンの漏出、線維芽細胞や炎症細胞の遊走、細気管支および肺胞上皮細胞の遊走が生じる(パネルE)。肺胞腔内に遊走してきた肺胞上皮細胞は異常に活性化しており、多様な成長因子とケモカインを産生する。これらはさらに線維芽細胞と骨髄由来前駆細胞の遊走を誘導する(パネルF)。その後、線維芽細胞は筋線維芽細胞へ分化し、過剰な量の細胞外マトリックス蛋白質を分泌し、肺胞の虚脱と進行性の異常な肺リモデリングを引き起こす(パネルG)。

臨床所見

空咳(71%)、呼吸困難(62%)、発熱(44%)、インフルエンザ症状(10-15%)が中心的な症状である。

・症状は亜急性経過をとり、数週間から数か月のうちに徐々に増悪する。

・身体所見で最も一般的な所見はfine cracklesであり、症例の60%で認める。

診断

・COPの臨床、放射線、病理学の専門知識を組み合わせてアプローチを行う。

■血液検査

・基本的には非特異的な所見が多い。

・CRP、赤沈、白血球数などの炎症マーカーの上昇はよく見られる。

・膠原病関連の自己抗体(抗核抗体、リウマチ因子、抗CCP抗体、CK、抗Scl-70抗体、抗セントロメア抗体、抗二本鎖DNA抗体、抗Jo-1抗体など)を提出し、二次性OPの検索を行う。

■呼吸機能検査

・拘束性障害とDLcoの低下を認めるが、1/4の症例では呼吸機能検査は正常となる。

■画像検査

・下記の別項にまとめる。

■気管支肺胞洗浄

・COPが疑われる場合、好酸球性肺炎や肺胞出血、感染といったその他の疾患を除外するためにBALの施行が推奨される。

・COPでは著明なリンパ球増加と、わずかな好中球と好酸球数の増加が認められることが多い。

・極端な好酸球の上昇や細菌の検出があれば他疾患を疑う根拠となる。

■病理学

肺胞腔と肺胞管、細気管支内にゆるい結合組織からなるポリープ(マッソン小体)を認めるが、肺の基礎となる構造は保持される。

・リンパ球の浸潤など、軽度の炎症所見を間質に認めることはあるが、著明な間質性慢性炎症や形成不良の肉芽腫などを認める場合はOP以外の疾患を考慮するべきである。

鑑別診断

薬剤性 ・アミオダロン ・βブロッカー ・ブレオマイシン ・カルバマゼピン ・コカイン ・シクロホスファミド ・メサラミン ・ミノサイクリン ・ペニシラミン ・フェニトイン ・トラスツマブ など
心不全
慢性甲状腺炎
膠原病 ・強直性脊椎炎 ・ベーチェット病 ・多発血管炎性肉芽腫症 ・結節性多発動脈炎 ・多発筋炎、皮膚筋炎 ・関節リウマチ ・強皮症 ・シェーグレン症候群 ・全身性エリテマトーデス
クリオグロブリン血症
血液悪性腫瘍
過敏性肺炎
免疫不全症候群
感染症
炎症性腸疾患
吸入障害
放射線肺障害
移植
他の間質性肺炎 ・慢性好酸球性肺炎 ・過敏性肺炎 ・非特異性間質性肺炎 ・ARDS

治療

・ランダム化前向き試験が実施されていないため、経験的治療が中心となる。

■糖質コルチコイド

・最も一般的な治療であり、低酸素血症がある場合に考慮される。通常の開始用量はPSL 0.5-1.0mg/kgであり、最大で60mgを経口投与する。初回投与用量を2-4週間継続し、治療反応性に応じて4-6か月かけて0.25mg/kgずつ漸減し、さらに6-12か月かけてoffとする。

・呼吸不全が強い場合はステロイドパルス療法から施行する。

・再発は1/4で生じるとされ、通常は最初の一年に起こる。

・PSL 15mg以下に減らしたときが最も起こりやすい。

■マクロライド系

・糖質コルチコイド療法の補助としてマクロライド系のもつ抗炎症作用を期待し使用されることがある。ただし、糖質コルチコイドを比較するとその効果は弱い。

■細胞障害性療法

・アザチオプリンまたはシクロホスファミドは、糖質コルチコイド療法が失敗した稀なケースを除けばCOPには推奨されない。

■ミコフェノール酸モフェチルおよびその他の薬剤

・リンパ球の増殖阻害薬であるミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、リツキシマブ、IVIGなどが急速進行性の場合や糖質コルチコイド療法抵抗性の場合に使用されたという報告が散見される。

器質化肺炎の画像パターン

HRCT所見

中下肺野領域に有意な斑状影であり、気管支血管束に沿うか、または胸膜下優位に分布する症例が6-8割の症例に認められる。

隣接する正常領域との境界が陰影側に凹であり、容積減少を伴う。

・陰影内部には牽引性気管支拡張を認めることがあるが、中枢側の気管支拡張像は通常伴わない

小葉辺縁性分布は6割に認めるが、これは小葉間隔壁や胸膜直下の二次小葉辺縁を縁取るように気腔内器質化物の貯留を反映したものである。

・20%程度に中心のスリガラス影を取り囲むように周囲の高吸収域を認めるreversed halo signを認める。

・30-50%の症例で1-10mm大の結節影が報告されている。

参考

Up to date:

①Cryptogenic organizing pneumonia

貼り付け元  <https://www.uptodate.com/contents/cryptogenic-organizing-pneumonia?search=%E5%99%A8%E8%B3%AA%E5%8C%96%E8%82%BA%E7%82%8E&source=search_result&selectedTitle=1~138&usage_type=default&display_rank=1>

➁Idiopathic interstitial pneumonias: Classification and pathology

貼り付け元  <https://www.uptodate.com/contents/idiopathic-interstitial-pneumonias-classification-and-pathology?search=%E5%99%A8%E8%B3%AA%E5%8C%96%E8%82%BA%E7%82%8E&source=search_result&selectedTitle=2~138&usage_type=default&display_rank=2>

・Talmadge E King Jr et.al, N Engl J Med. 2022 Mar 17;386(11):1058-1069.

・呼吸器学会:特発性間質性肺炎のガイドライン