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尿検査

尿蛋白

蛋白尿とは、24時間当たり0.15g以上の蛋白が尿中に排泄されることを言います。

通常は血清蛋白質由来のアルブミンと尿細管から分泌されるTamm-Horsfall蛋白が中心であり、それぞれ20mg、40-80mg程度が正常範囲とされています。

まず、蛋白尿は生理的なものと病的なものとに分類されます。前者には発熱、運動、外傷などのストレスによる一過性蛋白尿と、立位の時にのみ尿蛋白が排泄される起立性蛋白尿があります。

病的なものはAKIのように腎前性(オーバーフローによる蛋白尿)、腎性、腎後性(浸出液、分泌液による蛋白尿)に分けられ、さらに腎性は糸球体性蛋白尿尿細管性蛋白尿に細分化されます。以下、蛋白尿の分類とその原因疾患をフローにまとめます。

〇尿定性(試験紙法)

尿蛋白にはアルブミン、β2ミクログロブリン、ベンズ・ジョーンズ蛋白(BJP)、IgGなど様々なものがありますが、通常の尿定性検査で検出できるのはアルブミンのみになります。また、糖尿病性腎症で認める微量アルブミン尿(30-299mg/gCr)ではアルブミンの量が少なすぎ、試験紙法では検出できない可能性があります。

〇尿定量(尿蛋白/クレアチニン比、尿アルブミン/クレアチニン比)

尿蛋白量を定量的に測定し、1日のクレアチニン排泄量が1g/日と仮定し、/gCreで評価することで蓄尿を行わずとも1日あたりの尿蛋白の量を測定することが可能です。ただし、筋肉量が極端に多い・少ない場合や、AKIの場合はクレアチニン排泄量が1g/日であるという仮定が崩れてしまうため解釈に注意が必要になります。その場合は蓄尿検査を選択するようにしましょう。

糖尿病性腎症の患者では選択的にアルブミンを測定することで微量-顕性アルブミン尿の評価が可能です。

〇その他の検査

尿蛋白電気泳動で尿蛋白成分の内訳がわかります。

また、IgG/トランスフェリンを求めることでSelectivity Index(SI)を算出することができます、SI≦0.2の場合は高選択性とされ、微小変化群で多いパターンです。一方、SI>0.2の場合は低選択性とされ、膜性腎症などに多いパターンとされます。

尿潜血

尿潜血検査ではヘモグロビン、遊離ヘム蛋白を検出します。このため、赤血球が含まれる血尿だけでなく、ミオグロビン尿ヘモグロビン尿でも陽性となることに注意が必要です。血尿と診断するには尿沈渣を確認し、赤血球があるかどうかを確認する必要があります。尿沈渣で赤血球≧5/HPFで血尿と判断します。

血尿は糸球体性、非糸球体性(結石、尿路感染症、悪性腫瘍)に分類されます。以下、尿潜血陽性のアプローチをフローとして提示します。

尿沈渣

尿沈渣は病変の部位や病態などを推測することができます。尿沈渣は非侵襲的な検査で、多くの情報を得られ、簡便に用いることができ、繰り返し検査できる利点もあり、異常所見の再確認や経過の判断にも有用です。

〇赤血球

赤血球≧5/HPFの場合を血尿と呼び、出現する赤血球の形態によって出血部位の予測ができます。形態は均一同型赤血球と変形赤血球に区別され、均一同型赤血球は非糸球体型赤血球、変形赤血球は糸球体赤血球と呼称します。ただし、均一型赤血球は糸球体疾患でも認めることがあり、変形赤血球が尿細管由来でみられることがあるため注意が必要です。

〇白血球

白血球には好中球、好酸球、リンパ球、単球(マクロファージ)の4種類がありますが、尿沈渣でみられるのはほとんどが好中球で、好酸球とリンパ球は少ないですが認められます。白血球の増加は、腎・尿路系の炎症性疾患の存在を示唆します。

好中球:腎尿路系疾患全般、急性炎症
好酸球:アレルギー性膀胱炎、間質性腎炎、尿路変向術、尿路結石
リンパ球:慢性炎症、腎移植後拒絶反応時、腎尿路系結核

〇尿細管上皮細胞

虚血や薬剤による急性ならびに慢性の尿細管障害により、尿細管上皮が尿細管基底膜から剝離・脱落し、尿中に出現します。

〇卵円形脂肪体

卵円形脂肪体は内部に脂肪顆粒を多く含む細胞で,蛋白尿が多いときに出現します。

〇尿路上皮細胞

尿路上皮細胞は、男性では腎盂・腎杯~尿道近位部まで、女性では腎盂・腎杯~内尿道口まで存在する多層性の上皮細胞です。これは尿路上皮細胞存在部位の炎症、結石症、カテーテルによる損傷が原因となって出現します。

〇扁平上皮細胞

扁平上皮細胞は、外尿道口付近とその周囲に存在する細胞です。腔トリコモナスや細菌などの感染による尿道炎や尿道結石症、カテーテル挿入による尿道の機械的損傷後、前立腺癌のエストロゲン治療中や放射線治療中になどで観察されます。扁平上皮細胞はエストロゲンの作用で増殖するため、女性では多く認めます。

〇円柱成分

円柱はヘンレのループの太い上行脚から分泌されるTamm-Hosfallムコ蛋白を主体に、糸球体で濾過されたアルブミンなどの蛋白が混じったものです。円柱は遠位尿細管や集合尿細管で内腔を鋳型として完成し、尿に押し出されて尿中に出現します。

硝子円柱はTamm-Hosfallムコ蛋白やアルブミンが濃縮し、流量の低下によって固まったものです。この硝子円柱はあらゆる円柱の素材となります。この素材である硝子円柱の内部に細胞が入っているものが細胞円柱で、これには赤血球円柱、白血球円柱、上皮円柱、脂肪円柱があります。顆粒円柱とろう様円柱は円柱内部が独特に見える円柱です。顆粒円柱は円柱内の細胞が分解し、細胞内の顆粒成分が残ったものと考えられています。円柱が尿細管内に長く停滞すると、細胞のみならず顆粒も融解してろう様の構造物になり、ろう様円柱となります。

各種円柱により考えられる疾患

・硝子円柱:尿濃縮時、健常人でも出現

・赤血球円柱:糸球体腎炎、激しい尿細管間質性腎炎

・上皮円柱:尿細管病変

・白血球円柱:激しい増殖性糸球体腎炎、尿細管間質性腎炎、腎盂腎炎

・脂肪円柱:ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症

・顆粒円柱:尿細管障害、ネフロンの障害

・蝋様円柱:糸球体濾過量低下、高度尿細管障害

尿比重、尿ウロビリノーゲン、尿ビリルビン、尿ケトン

〇尿比重

尿比重は尿の希釈、濃縮の度合いを簡易的に評価できる指標であり、尿浸透圧を推測することも可能ですが、その正確性は劣るとされています。

尿比重≦1.003であれば最大希釈尿であることが予測でき、多飲や尿崩症などによる水利尿を考えます。また、尿比重≧1.018では濃縮尿と考えられますが、造影剤やマンニトールが存在するときはその分子量が大きく、尿比重>1.035になるといわれています。

腎機能障害が進むと尿の希釈・濃縮障害が起こり、等張尿である尿比重1.008〜1.009に近づき、夜間頻尿を呈するようになるとされます。

〇尿ウロビリノーゲン・尿ビリルビン

胆道系の状態を間接的に知る情報として尿ウロビリノーゲン・ビリルビンを利用します。

尿中ウロビリノーゲンは(±)が正常であり、(-)では胆道系の閉塞が示唆されます。また、(2+)では便秘や小腸閉塞(便中排泄減少)、溶血(ウロビリノーゲンが増加)などが疑われます。

尿中ビリルビンは(-)が正常です。(+)では直接ビリルビンの上昇を示しており、血管内溶血が起こっていることが示唆されます。

〇尿ケトン

ケトン体にはアセト酢酸、βヒドロキシ酪酸、アセトンの3種類がありますが、試験紙法で検出できるのはアセト酢酸のみです。特にアルコール性ケトアシドーシスではβヒドロキシ酪酸が優位に上昇するため、検出できないことが多いので注意が必要です。

尿白血球エステラーゼ反応、尿亜硝酸塩、尿pH

〇尿白血球エステラーゼ反応

白血球の中でも好中球の一次顆粒であるエステラーゼの活性を利用し、「尿中に白血球が存在すること」を間接的に確認する検査です。抗菌薬(イミペネム、メロペネム、クラブラン酸)や尿保存剤のホルムアルデヒドの存在で偽陽性となり、尿pHが低い場合や抗菌薬(セファレキシン、テトラサイクリン、ゲンタマイシン)で偽陰性となります。

陽性の場合、尿沈渣で白血球≧10/mm3であることに対して感度 75-96%、特異度 94-98%であるとされています。あくまで膿尿(尿中に白血球があること)に対しての精度であり、UTIに対するものではないことに注意が必要です

〇亜硝酸塩

尿中には通常、食事(特に野菜)由来の硝酸塩が存在しますが、亜硝酸塩は存在しません。しかし腸内細菌の多くが硝酸還元能を持つため、細菌が増殖すると尿中の硝酸が亜硝酸に還元され、これを試験紙で検出します。細菌尿に対しては感度は35-85%、特異度は92-100%であり、感度は低いですが亜硝酸塩陽性であれば細菌尿の可能性が高いと言えます。

白血球エステラーゼ検査と亜硝酸塩は単独での意義はそこまで高くありませんが、家庭医療のセッティングにおいて両者陽性の場合、UTIに対する感度は68-88%で、特異度は98-100%とされています。

〇尿pH

尿pHの正常値はおおむね4.8-7.5(平均6.0程度)とされています。臨床的に重要なのはpH>7.0の場合で、ウレアーゼ産生菌(Proteus, Klebsiella, Morganellaなど)によるUTIを疑います。

参考

・「型」が身につく 蛋白尿・血尿の診かた・考え方 日本医事新報社

・医学事始