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副甲状腺ホルモン製剤(テリパラチド、アバロパラチド)

  • 2022年10月1日
  • 2023年9月15日
  • 骨粗鬆症
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作用機序

副甲状腺ホルモンは副甲状腺から分泌され、カルシウムとリンの恒常性を調節する作用があります。破骨細胞による骨吸収と腎尿細管でのカルシウムを促進し、血清カルシウム濃度を維持します。作用機序からは骨粗鬆症を進行させてしまいそうな感がありますが、間歇的投与ではむしろ骨形成を促進するようで、骨粗鬆症の治療薬として用いられるようになりました。この辺はややこしいですね・・・。

副甲状腺ホルモン製剤の種類

本邦ではテリパラチドが2種類の剤形で販売されています。テリボン®は週1回、フォルテオ®は毎日皮下注射を行います。後発品で月2万円と、薬価はそれなりに高いです。また、2022年9月、帝人ファーマがアバロパラチド(オスタバロ®)の承認を取得しました。こちらは毎日皮下注射を行う製剤です。2022年10月1日現在、薬価収載は未です。なお、アバロパラチドは1型副甲状腺ホルモン受容体への選択的アゴニストであり、テリパラチドと比較しより顕著な骨形成作用を持つとされています。

副甲状腺ホルモン製剤のエビデンス

①骨密度について

2012年のシステマィックレビューでは、テリパラチドはプラセボと比較し椎体、大腿骨近位部ともに骨密度を上昇させました。1)

②骨折の予防

テリパラチドの骨折予防効果が示されているのは主に二次予防です。椎体骨折の既往のある閉経後女性を対象としてFRT試験では、プラセボと比較し椎体骨折、非椎体骨折(大腿骨骨折も含む)を有意に減少させました。以下にカプランマイヤー曲線を提示しますが、12か月頃から差がつくようになっており、BP製剤同様即効性はないようです。2)

一方、8割が骨折の既往のない閉経後女性を対象とし、PTH1-84(パラトルモン。テリパラチドではない) 100mgを連日皮下注しプラセボと比較したRCTでは、椎体骨折を有意に減らし、骨折の既往のないサブグループでも同様に椎体骨折の有意な減少を認めました。しかし、非椎体骨折は減少しませんでした。3)

また、アバロパラチドについてですが、骨折を有する閉経後女性に対し、プラセボと比較したRCTで、椎体骨折、非椎体骨折をともに有意に減少させました。4)

エビデンスをまとめますと、テリパラチド、アバロパラチドともにプラセボと比較し、骨密度を上昇させ椎体骨折、非椎体骨折を減少させる効果があるようです。ただし、非椎体骨折というのが微妙な表現で、大腿骨近位部骨折を減らすのかどうかは判然としません。また、補足ですが疼痛を軽減する作用があるようです。

副作用

高カルシウム血症と高カルシウム尿症が頻度の多い副作用です。定期的な採血による電解質のチェックが望ましいです。その他、嘔気、嘔吐、めまい、立ち眩み、有痛性筋痙攣、頭痛、高尿酸血症があります。長期投与で骨肉腫の危険性が高まるとされ、フォルテオ®は24か月、テリボン®は72週間、オスタバロ®は18か月に使用期間が制限されています。また、中止により骨密度が速やかに低下し、元に戻ってしまうため、後療法は必須です。

実際の使い方

正直なところ、使いどころが難しい薬剤です。添付文書上は骨折のリスクの高い骨粗鬆症とありますが、BP製剤などと比較し有意性を示した研究はありません。勝手に効果発現が早いのかと思っておりましたが、先述の通り効果がでるまでに12か月はかかり、BP製剤と差があるとは思えません。非常に高価であることもあり、BP製剤に優先して使用する薬剤ではないと考えます。BP製剤が使用できない場合や、BP製剤を使用しても骨密度が低下してしまうような場合であったり、疼痛が強く鎮痛効果を付与させたい場合に使用を検討するのがよいと思われます。

副甲状腺ホルモン製剤のまとめ

参考

論文

1)Han SL, et al: Effect of teriparatide on bone mineral density and fracture in postmenopausal osteoporosis: meta-analysis of randomised controlled trials. Int J Clin Pract. 2012; 66: 199-209.

2)Neer RM, et al: Effect of parathyroid hormone (1-34) on fractures and bone mineral density in postmenopausal women with osteoporosis.N Engl J Med. 2001; 344: 1434-1441.

3)Greenspan SL, et al: Effect of recombinant human parathyroid hormone (1-84) on vertebral fracture and bone mineral density in postmenopausal women with osteoporosis: a randomized trial. Ann Intern Med. 2007; 146: 326-339.

4)Miller PD,et al: Effect of Abaloparatide vs Placebo on New Vertebral Fractures in Postmenopausal Women With Osteoporosis: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2016: 316; 722-733.

・竹内靖博 編:もう悩まない!骨粗鬆症診療 新装版: 2022

・南郷栄秀, 岡田悟 編: なんとなくDoしていませんか?骨粗鬆症診療マネジメント. Gノート, 4(1): 2017