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本態性血小板血症

  • 2023年1月23日
  • 2023年1月26日
  • 血液
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疫学

先進国におけるBCR-ABL陰性の骨髄増殖性疾患の1/3を占めるといわれます。人口ベースの疫学研究では年間1-2.5/100,000人程度とされていますが、診断されていない症例も多いと考えられています。

人種では非ヒスパニック白人と比較して黒人で多く、ヒスパニック系白人及びアジア人での発生率は低いとされています。男女比は1:2で女性に多いです。有病率は年齢と共に増加し、診断時の中央値は60歳程度とされています。

病態

本態性血小板血症は多能性幹細胞に由来するクローナルな疾患で、骨髄増殖性腫瘍に分類され、JAK2変異をはじめ遺伝子変異がその原因と考えられています。

JAK2V617F変異が約50%に、トロンボポエチンレセプターのc-MPLの変異が約10%の症例に、さらにCALR exon9変異が20-30%の症例に認められます。いずれの遺伝子変異も認めない症例も10-15%程度いると推定されています。

症状

血小板増加は健康診断や他の疾患の加療中などに偶然発見されることが多いです。

特異的な症状には乏しいですが、ときに四肢の先端に発赤とともに灼熱感が生じることがあり、肢端紅痛症として知られています。一過性の視力障害、頭痛、めまい、構音障害など微小血管症状を伴うこともあります。真性多血症と異なり、掻痒感の頻度は低く5%未満とされています。

近年、腹腔内静脈血栓症の一部では骨髄増殖性腫瘍が基礎疾患として認められることが注目されており、このような症例に遭遇した場合はETを含め骨髄増殖性腫瘍を念頭に置く必要があります。

血小板増多が顕著である場合、二次性von willebrand病を併発し出血傾向をきたすことが知られています。

また、女性の場合、流産の頻度が増加することも指摘されています。

診断

〇診断基準

ETの診断は、WHO2017年分類の診断基準に基づいて行われます。

この診断基準においては、4つの大基準と2つの小基準が定められており、ETと診断するためには、大基準4つもしくは大基準1~3と小基準の1つを満たすことが必要です。

大基準:

1)血小板増加の存在。45万/μL以上と定められている。

2)骨髄生検病理所見。大型で成熟した巨核球の増加を認めることとされる。好中球または赤芽球造血の有意な増加は伴わない。線維化はごく軽度認めることはある。

3) 他のMPNの否定。BCR-ABL1陽性CML、真性多血症(真性赤血球増加症、PV)、原発性骨髄線維症(PMF)および慢性好中球性白血病(CNL)を除外する必要がある。

4)JAK2、CALRもしくはMPL変異を認める。

小基準:

1)クローナルなマーカーを認める。

2)反応性血小板増加を認めない。

まず診断の上で重要なのは、反応性の血小板増多症を除外することです。以下、血小板増多症の鑑別となる疾患を示します。

血小板の増加はさまざまな病態や疾患によりもたらされます。特に、鉄欠乏性貧血では反応性血小板増加を認めることが多く、重要な鑑別疾患として挙げられます。MCVの低下や血清フェリチンの低下について注目すると診断できるでしょう。鉄欠乏性貧血に合併した血小板増加であれば、治療により貧血が改善することに伴い、血小板増加も改善します。慢性炎症固形癌の併発によっても血小板上昇を来すため、これらの基礎疾患の有無についても検索が必要です。

他のMPNの除外においては、染色体分析やFISHにてBCR-ABL変異の有無を確認し、慢性骨髄性白血病の可能性を否定することが必要です。また、HbやHctの値から真性多血症との鑑別を行います。線維化の乏しい初期の骨髄線維症(pre fibrotic PMF)と本態性血小板血症との鑑別は骨髄生検病理像に基づいて行われますが、ときに判断が難しく、専門家の間で意見の分かれる症例もみられます。

以下、診断までのフローです。プライマリケア医の役割としては二次性の血小板増多の除外にあると思われます。

治療

治療は血栓症のリスク、年齢に基づき行われます。

低用量アスピリン、ハイドロキシウレア、アナグレリドが使用されます。

参考

・今日の臨床サポート

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・血液内科ただいま診断中 

・ホスピタリストのための内科診療フローチャート 第2版