注目キーワード
  1. 高血圧
  2. 骨粗鬆症
  3. 糖尿病

書評:自己肯定感を上げるOUTPUT読書術

 

 今回は「自己肯定感を上げる OUTPUT読書術」を紹介させて頂きます。

 

 著者はアバタローさんという書評YouTuberです。彼は哲学などの古典について、著者や時代背景の知識も交えつつ、一般人でも理解できるように解説されています。文章を理解するだけで一苦労な格式高い古典であっても、「さっそく明日からの生活に活かせるんじゃないか!?」と思ってしまうくらいわかりやすく動画にまとめており、その解説を聴けば誰もがその知性の高さを感じとることができると思います。内容もさることながら、思わず聴き入ってしまうような「渋い声」も特徴的であり、私のイチオシのYouTuberさんです。以下にニーチェのツァラトゥストラに関する動画を貼っておきますので、是非視聴してみてください。

 

 さて、突然の自分語りとなり大変恐縮ですが、私は現在「自分が生きていく上で、軸となる哲学」を確立するために目下自分探しをしている最中です。きっかけは私自身がうつ病を発症し休職せざるを得なくなってしまったことにあります。現在は体調こそ回復してきていますが、この挫折によって自分の信じてきたもの・目標にしていたものが一気に崩れ去り、自分の軸というものを見失ってしまいました。このままではいけないと思って焦り始めた矢先、アバタローさんのチャンネルに出会いました。哲学の古典というとムズカシイ内容のものが多く食指が動かなかったのですが、アバタローさんの動画を参考にすることで、私であっても哲人達の考えを実践的なレベルまで理解することができ、まるで目の前の霧が晴れるような感覚を味わいました。

 

 さらに視界をクリアにするため、今後は自分でも哲学の古典を読んでみたいと思い始めたのですが、元々読書習慣が全くない人間ですから、一から独力で挑むのは無謀という他ありません。そこで、そのアバタローさんの読書術の書籍を参考に、今後の読書の道筋を立てようと思ったわけです。本書に記載のあるノウハウを使いつつ、早速「自己肯定感を上げるOUTPUT読書」に取り組んでみようと思います。

 

構成

本書は、

・プロローグ

・第1章:人生を劇的に変える読書の威力

・第2章:超効率的OUTPUTフローが、無限の可能性を引き出す

・第3章:OUTPUT読書術の具体的な方法

・第4章:絶対失敗しない選書の方法論

・第5章:何をINPUTするのか?

・エピローグ

という構成となっています。

今回は「読書の方法論を学びたい」という目標に則り、OUTPUT読書術について記載されている第1-3章を中心にまとめ、選書などに言及している第4,5章は割愛したいと思います。

 

プロローグ

さて、まずはプロローグですが、早速著者の最も伝えたいメッセージが出てきます。それは「読書によって、人は自己肯定感を高め、人生を好転させることができる」という点です。

 

動画からは想像もつきませんが、実はアバタローさんは、

・小学校時代は兄への劣等感に苦しむ

・中学・高校時代はいじめにあい不登校

・社会人では上司のパワハラによってうつ病発症 

と、常に自己肯定感を根こそぎ奪うような辛い体験を何度もされてきました。そんな中、読書によって哲人達と向き合い、自分自身を見つめ直すことで過去のトラウマや劣等感から解放され、ありのままの自分の姿で日々を過ごすことができるようになったそうです。

 

こういった自分の経験を踏まえ、「自己肯定感に悩み苦しんでいる人の力になりたい」という意思の下、本書を執筆するに至ったとのことでした。

 

第1章

この章では「読書の意味」について述べられています。この中で、著者は読書を「人生を豊かにする食事のようなもの」であり、「コスパ最高の自己投資」と表現しています。

  

ただ、食事と同様に闇雲に食べまくる=多読すればいいというわけではありません。 

・栄養価の高い良質な食材=本の選び方

・手に入れた食材=本をおいしく食べる調理法

・食材=本に含まれる栄養に関する知識、そして効率よく吸収させる工夫

を学び、正しく自分の血肉とする必要があります。やり方を間違えると消化不良に陥ったり、肥満という望まない体型になってしまったりしてしまいます。

 

また、「読書の目的を明確にすること」の重要性についても指摘しています。

食事に置き換えると筋肉をつけたい、健康になりたいといった目標があって初めて食事内容が具体化されますし、モチベーションも湧いてきます。読書も同様で、何のために本を読むのか?ということを自分の中でイメージしてから、その上でどんな本を、どのように読んでいくのかを考えていく方が自然です。本を読むことそのものが目的化してしまうと、読書自体が辛い作業と化してしまうリスクが高まり、自己肯定感を損ねる挫折に繋がってしまうため注意が必要です

 

このように、本項では読書を有意義なものとするための基本的な考え方が書き綴られていますが、最後に「読書をすることにこだわり過ぎてはいけない」ことも言及されています。方法論に拘ってしまい、読書が苦痛になってしまっては挫折の素となります。他人と比べず、自分のペースで、楽しく続ける必要があります。

第2章

この章では「なぜOUTPUTが重要か?」ということについて述べられています。

 

ただ漠然と本を読んでしまうと、その内容はほとんど頭に残りません。私も本を読み終わった後、妻から「どんな本だった?」と聞かれてパッと言葉が出てこず、「俺って何のために読書してたんだろう…」と思った経験があります。私は「読書によって人生を豊かなものにしていきたい」という目的があるわけですが、これではとても日々の生活に活かすことはできませんね。

  

ここで、著者は「OUTPUT読書術を行うことで、人は人生に変化を生じさせることができる」と説いています。読書の目的にもよると思いますが、私のような人間の場合はこの「読書による変化」というものを求めているわけですから、何としてもOUTPUT読書術を習得したいものですね。

 

 

第3章

この章では「具体的なOUTPUTの方法」について述べられています。

 

OUTPUTは、大きく以下の4つのセクションに分けることができます。

①準備:環境を整える、集中する

➁読解:自分の仮説を持つ、重要箇所に線を引く、メモを取る

③要約:自分の読書を振り返り要約する、自分の意見をまとめる

④発信:会話、SNS、ブログといった手段で他人に伝える。

 

個人的には、➁読解の部分がOUTPUTの上で最も重要だと考えています。③要約も重要なのですが、そのためには当然素材となる一文やアイディアが必要となります。逆に言えば素材さえあれば要約は難しくありません。

  

本書に記載のあった、➁読解についてのノウハウをいくつかピックアップしていきます。

  

・読む前に自分の「仮説」を立てる

漠然と文章を読むのと、事前に軸となる考えを持って読むのとでは頭に入ってくる情報量が変わってきます。仮説を持つことで、後述する「筆者の主張を捉える」、「ツッコミモードに入る」といった作業が格段に楽になるからです。我々も医学的な調べ物をする際、仮説を立てた上で始めることが多いですよね。仮説は表紙、帯、目次を参考に作り、5W1Hを意識して作ります。何かしらの仮説を立てることが重要ですから、短くて簡単でもOKです。ここはあまり肩肘を張らずに取り組みましょう。

   

・筆者の主張を捉える

国語の問題を解く上での基本技術であり、「できて当たり前」と思ってしまう部分ですが、重要事項ですから触れておきます。一般的に序論、本論、結論と論文は展開されるわけですが、筆者の言いたいことは序論と結論に書いてあることが多いです。また、強調表現や譲歩構文(例:たしかにAである、しかしBだ)にも注目しましょう。

 

・ツッコミモードに入る

筆者の主張に「へー、そういう考えもあるのかぁ」と漫然に相槌を打っていると、本の内容はスルリと頭から抜けていってしまいます。筆者の意見に賛成できる点は頷き、賛成できない点にはツッコミをいれます。とにかく受け身にならず、積極的にツッコむ姿勢が必要です。ツッコミポイントは①問い(言い換えるのであれば筆者が本を書くに至ったきっかけ、問題意識)、➁主張、③根拠の3点を意識します。

 

・付箋は3枚まで

本を読んでいて印象に残った部分には線を引いたり、付箋を貼ったりしてマーキングを行いますが、闇雲にマーキングをすればいいというわけではありません。線を引きまくって1ページまるまるにハイライトがついている、となってしまえばどこが重要なのかわからなくなってしまいます。そこで、筆者で提案しているのがマーキングの数を制限することです。文中では付箋の数を3枚に絞ることが例に挙げられています。まず、本の各章において、一番重要なページにのみ付箋を貼っていきます。本書であれば5枚付箋が貼られるわけですが、最後に断腸の思いで3枚に絞ります。すると、残った3枚の付箋がある箇所には、「自分の頭で考え取捨選択した結果」が燦然と輝いていることになります。

 

このような点を意識して読解を行い、次に要約を行います。本書ではA4用紙1枚にまとめることを提案しています。この際、文章の正確性はあまりこだわらず、構造として説得力があるかを意識して行います。まとめ方は序論、本論、結論というセオリー通りでもいいですし、要点をいくつかピックアップして最後に自分の考えをまとめる、というやり方など、なんでもOKです。

 

最後に発信を行います。他人に伝えるというひと手間を加えることで自分への浸透度が格段に上がります。その手段は各々にあったやり方で大丈夫です。パートナーや友人に話すでもいいですし、SNSやブログを利用してもよいです。ただし、人からの意見で傷ついてしまったり、自己肯定感を損なわない方法を選択するようにしましょう。そう考えるとSNSは使わない方がいいかもしれませんね。

本書の要約は以上となります。ブログの読者向けというよりも、私自身の頭の中の整理のために書いているので、わかりにくい部分もあるかもしれません。気になった方は是非本書を手に取って頂き、直接内容に触れて頂ければと思います。

 

最後に、以下は私の感想を述べていこうと思います。

本書には「自己肯定感を高める」というタイトル通り、そのコツが随所にちりばめられていました。いやむしろ、「自己否定に陥らないための読書術」といった方が正確かもしれません。読書を始めたのはいいものの三日坊主に終わってしまったり、内容が理解できなくて心が折れてしまったりと、とにかく挫折せずに継続して読書を続けられるようなノウハウが多かった印象です。

 

本当の意味で読書によって自己肯定感を高めていくことができるかは、「読書において自分の目標を設定し、読書を通じて何を学び、日々の生活に変化を加えることができるのか」に尽きるかと思います。とにかく自分次第、ということですね。

 

とはいえ、何事も自分のペースで、継続して行っていくことで成果につながると思いますので、そういった意味で挫折しないための読書術の入門書、としては素晴らしい本だと思います。

 

最初にお話しした通り、読書を通じて「自分が生きていく上で、軸となる哲学を見つける」ということが私の目標になります。今後は哲学の古典や自己啓発本を読む際、本書のノウハウを参考に、

・仮説を立てる

・筆者の主張を捉える

・ツッコミモードで読む

・付箋は3枚までとし、重要箇所を絞る

という4点を意識し読解を行い、まとめを作成してみようと思います。

 

今回初めての試みでしたので、気合が入って長くなってしまいました。何なら医学の記事よりも時間と労力がかかりました…。早速力みが出てしまっており、挫折の萌芽が見られている気がするので、次回以降はもう少し簡潔に記事を書いてみようと思います。

 

最後になりますが、アバタローさんの動画は良質でありオススメです!皆さん是非視聴してみてくださいね!